日本映画

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岡本喜八監督『殺人狂時代』の奇妙な映像とアクション映画としての面白さと「狂気と戦争」

映画『殺人狂時代』の概要 精神病院を営む溝呂木は大日本人口調節審議会なるものを秘密裏に設立し、ナチスの残党とともに人口調整のために無駄な人間を殺すことを計画していた。犯罪心理学者の桔梗信治のところにも間淵という殺し屋が差し向けられるが、間淵は桔梗の亡き母のブロンズ像にぶつかってあえなく死んでしまう。しかし、その後、桔梗に次々と殺し屋が差し向けられる… 都筑道夫の「飢えた遺産」を岡本喜八が監督したア […]

『東京オリンピック』競技者の生々しさと束の間の平和の眩しさ

映画『東京オリンピック』の概要 1964年、東京で開かれた第18回オリンピック。日本がこれまでに経験したことのない規模で行われたスポーツイベントを巨匠・市川崑が記録し、映画化した作品。聖歌がギリシャで点火されるところから、開会式、各競技、閉会式まで、時に全体を俯瞰し、時にひとりの人間を追い、余すところなく伝えた3時間近い力作。 公開されたのは、オリンピックが開催された翌年だったが、人々の記憶に新し […]

『キューポラのある街』は高度成長期の日本が若者に託した希望そのもの

映画『キューポラのある街』の概要 キューポラと呼ばれる煙突が立ち並ぶ鋳物の町・川口、そこに住むジュンの父は熟練工だが、工場が買収されたことでクビになり、徐々に自暴自棄に陥っていく。ジュンはそんな父を見ながら、自分の力で高校へ行こうとパチンコ屋でアルバイトを始めるが、弟のタカユキがチンピラに屑鉄盗みに引っ張られていったりと苦難ばかりが降りかかる… 吉永小百合を主演に、高度経済成長に差し掛かる日本の姿 […]

溝口健二が国際的評価を得た『雨月物語』のアンチクライマックスと引き込まれるドラマ

黒澤、小津に次ぐ巨匠とも賞される溝口健二の代表作の一つがこの『雨月物語』。江戸時代の文学を翻案し、時代劇ながら現代的なドラマに仕上げています。ヴェネチア映画祭で銀獅子賞を得たこともあり、海外の批評家にも引き合いが出されることの多い作品です。 映画『雨月物語』の概要 戦国時代、近江の国の農村で焼き物を作っていた源十郎は戦に乗じて町で焼き物を売り小金を手にする。女房の宮木の喜ぶ顔を見て調子に乗った源十 […]

小津安二郎『東京物語』が見られるVODと次に見るべき映画

日本映画の巨匠といえばまっさきに名前が上がる二人が黒澤明と小津安二郎。その小津安二郎の代表作といえば『東京物語』。私も大好きな映画の一つです。 黒澤明は時代劇やサスペンスを得意として派手な印象なのに対して、小津安二郎はホームドラマが得意で地味な印象。でも、その時代をリアルに描いているのは小津安二郎なのかもしれません。 小津の代表作『東京物語』も戦後日本をリアルに描いた作品。今見てもそこには学びがあ […]

『幕末太陽傳』でぶつかる川島雄三とフランキー堺と石原裕次郎の魅力

日本映画史に個性派として名前を残す川島雄三。独特の色彩感覚と軽妙な語り口でファンが多い監督のひとりです。その川島雄三の代表作の一つが『幕末太陽傳』。当時人気のフランキー堺を主演に、のちのスターとなる石原裕次郎や芦川いづみも出演しています。 映画『幕末太陽傳』の概要 1957年,日本,110分監督:川島雄三脚本:田中啓一、川島雄三、今村昌平撮影:高村倉太郎音楽:黛敏郎出演:フランキー堺、左幸子、南田 […]

『夜の蝶』は黄金期の日本映画の力を見せる「大映ドラマ」の秀作

日本映画が黄金期を迎えた昭和30年代の大手スタジオのひとつ大映、その後テレビでも「大映ドラマ」というひとつのフォーマットを築く映画スタジオがその力をいかんなく発揮したのが映画『夜の蝶』。 当時の看板女優、京マチ子と山本富士子の二人を主演させ、監督吉村公三郎、撮影宮川一夫で夜の銀座の強い女と情けない男たちを描ききった。 映画『夜の蝶』の概要 銀座のバー・フランソワは著名人が訪れる名店でそのママのマリ […]

是枝裕和監督『万引き家族』の次に見るべき映画は?

カンヌ映画パルムドールも受賞した是枝裕和監督の映画『万引き家族』、面白いだけでなく色々考えさせられる映画でしたので、感想はこちらに書きました。 こちらでは、映画『万引き家族』を見られるVODと、次に見るべき映画を紹介します。 『万引き家族』を見られるVODは 映画『万引き家族』が見られるVODは以下のとおりです(2020年3月現在)。 500円/月30日間無料 万引き家族定額見放題 2,189円/ […]

『誰も知らない』は実は少年・柳楽優弥のドキュメンタリーである

『万引き家族』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和の長編第3作で柳楽優弥がカンヌ映画祭で史上最年少(当時)で男優賞を受賞した作品。 実際にあったネグレクト事件をモチーフに、家族を描いたヒューマンドラマ。 映画『誰も知らない』の概要 新しいアパートに引っ越してきたけい子と明の親子、引越しが終わって、スーツケースから弟と妹が、そして電車でやってきたもう一人の妹。彼らはそれぞれ父親の違う4人の兄 […]

京マチ子の『黒蜥蜴』は圧倒的面白さの娯楽映画、そして最高のB級映画。

江戸川乱歩の明智小五郎シリーズの一作を三島由紀夫が戯曲化し、新藤兼人が脚本家、井上梅次が監督し、京マチ子が主演したという豪華な作品。だが、仕上がりはB級映画で、しかも最高のB級映画だ。 クエンティン・タランティーノは『キル・ビル vol.1』に登場するオーレン・イシイのキャラクターをこの黒蜥蜴(深作欣二監督丸山明宏主演版と思われるが)をモデルにして作り上げたという逸話もある。 映画『黒蜥蜴(196 […]

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