黒澤明

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黒澤明のデビュー作『姿三四郎』はスポ根の原点

黒澤明が戦中に柔術家を主人公に撮ったデビュー作。姿三四郎が成長し徒手空拳で戦う姿に当時の少年達は熱狂した。今で言うスポ根ものの原点かもしれない。 映画『姿三四郎』の概要 柔術を志していた三四郎は入門に行った師匠の闇討ちについていく。そこで何人もの達人をばったばったと投げる矢野正五郎にほれ込み、柔道の道に進むことにした。厳しい修行でみるみる強くなった三四郎は警視庁主催の他流試合に出場することになるが […]

『續姿三四郎』を続編嫌いの黒澤明はどう撮ったのか

1945年、黒澤明が撮った『姿三四郎』の続編。続編嫌いで知られる黒澤明だが、いざ撮ってみればそれなりの作品に仕上げるところはさすが。 映画『續姿三四郎』の概要 前作『姿三四郎』で檜垣源之助を倒し、旅に出た三四郎が2年後に帰ってくる。その途中横浜で、アメリカ兵に殴られている人力車夫を助けてアメリカ兵を海に投げ飛ばし、招かれた大使館でスパーラー(ボクサー)と戦う柔術家に出会うが、三四郎は見るに見かねて […]

黒澤明の『虎の尾を踏む男達』でエノケンの底力を知る

黒澤明の戦後第1作として撮られながら検閲に引っかかり7年間公開されなかったという喜劇。歌舞伎の演目「勧進帳」を黒澤明が大胆にアレンジし、エノケンの笑いでダイナミックなコメディにした。 映画『虎の尾を踏む男達』の概要 平家を滅ぼすのに功を上げた義経だったが、梶原景時の箴言により兄頼朝から終われる身となってしまった。義経は奥州の藤原氏の下に逃げ延びるため、武蔵坊弁慶らとともに山伏に変装して旅をしていた […]

黒澤明『わが青春に悔なし』原節子の美しさが光る戦後第一作

第二次大戦中に映画監督としてデビューした黒澤明の戦後第一作は、反軍国主義的カラーに染まった戦後らしい作品。厳しい制作状況の中でも原節子の美しさを引き出して魅力的な映画をつくった。 映画『わが青春に悔なし』の概要 満州事変のころ、「京大事件」がおきた。京大の教授八木原の弟子である野毛は7人の仲間と、教授の娘幸枝とともに政府に反対し、議論を繰り広げていた。野毛は学生運動を組織し、デモを行い逮捕されてし […]

黒澤明『素晴らしき日曜日』コメディでもリアルな戦後を描く

黒澤明が1947年に撮ったヒューマン・コメディ。ある恋人の休日をモチーフに、同時代の観客に時代について問いかける意欲作。 映画『素晴らしき日曜日』の概要 日曜日ごとのデートを楽しみにしているふたり、しかしふたりとも貧乏で今日はふたり合わせて35円しかない。それでも必死に楽しく過ごそうとする昌子だったが、雄造はどうにも憂鬱で昌子の気分について行くことが出来ない… 戦後の暗い世相の中必死に明るく生きよ […]

黒澤明と三船敏郎の初タッグ『酔いどれ天使』は時代を描いた人間ドラマ

黒澤明がほぼ新人の三船敏郎をはじめて主演に迎えて撮った野心的なドラマ。終戦直後の混沌とした時代を舞台に、三船は若いヤクザものを演じ、志村喬が医者を演じた。 映画『酔いどれ天使』の概要 闇市近くの薄汚れた建物に医局を構える眞田医師、そこにしゃれた風体の男がやってくる。男は手を打たれており、手から弾丸をとりだすが、咳が気になった眞田医師は結核の診察もして、その男に「肺に穴が開いている」と告げると、男は […]

黒澤明『野良犬』戦争直後の日本はこうだった。閉塞感がひしひし伝わる

黒澤明が戦後のドヤ街を舞台にスリを追う刑事の姿を描いたサスペンスドラマ。暗い世相を描きながらそこかに希望も感じさせる作品。 映画『野良犬』の概要 暑い夏のある日、訓練を終えて家路についた新人刑事の村上は満員のバスの中を降りたところでピストルを盗まれたことに気づく。あわてて犯人らしき男を追うが逃げられ、上司に報告するとスリ専門の部署に行くように言われた。そこで仲間と思われる女に見当をつけた村上はそこ […]

黒澤明『静かなる決闘』は戦後日本の鬱屈を豪雨で表現

軍医として従軍した医師の苦悩を描いた黒澤明の現代劇。1949年の大映作品で若き三船敏郎をはじめとする役者の魅力が詰まった作品。 映画『静かなる決闘』の概要 第二次大戦に軍医として従軍した医師の藤崎は手術中にメスで手を切ってしまうが、そのまま手術を続ける。そして後日、その患者が梅毒であったことを知り、検査をしてみると自分も梅毒に感染していることが判明した。復員した藤崎はそのことをともに病院でも働く父 […]

志村喬が目で語る『生きる』で黒澤明が引き出した役者たちの魅力

黒澤明が志村喬主演で撮ったヒューマンドラマの傑作。30年間何もしてこなかった公務員の男が自分の死期を悟り、生きることの意味を探っていく。 映画『生きる』の概要 とある市役所の市民課長を務める渡辺はただ何もしないことで、30年間勤めを果たしてきた。そんな彼が突然役所を休む。胃に違和感を感じたので検査をしに病院に行ったのだ。待合室で、ほかの患者としゃべった彼は自分が胃癌であると確信するに至る。自分の命 […]

映画史に残る『七人の侍』3時間半が短く感じる黒澤明の仕掛け

世界中の映画製作者に影響を与え続ける黒澤明映画の金字塔。三船敏郎演じる野武士が侍たち、百姓たちを巻き込んで繰り広げる3時間半の大スペクタクル。これを見ずに映画を語るなかれ! 映画『七人の侍』の概要 時は戦国時代、野武士の来襲に怯える山間の農村、村人たちは知恵を絞り、村の長老の忠告に従って、食事を供するという条件だけで村のために戦ってくれる浪人者を探すことに。そのために4人の百姓が町に出たが、なかな […]