たまにはこんな映画も『スペンサー・コンフィデンシャル』は予定調和のバディ・ムービー

たまにはこんな映画も『スペンサー・コンフィデンシャル』は予定調和のバディ・ムービー

元警官のスペンサーが相棒のホークと汚職警官の悪事を暴くアクションコメディ。白人と黒人の凸凹コンビというバディ・ムービーの王道でマーク・ウォールバーグが主役を演じる。

ものすごい面白い作品というわけではないが、安心して見られる娯楽映画で、休日の午後にぼんやりと見て息抜きをするのにはピッタリの作品。Netflix独占配信。

映画『スペンサー・コンフィデンシャル』の概要

汚職の疑いがある上司ボイランに暴行し、5年の刑務所ぐらしを余儀なくされた警察官のスペンサーは、出所すると格闘技ジムのオーナーで友人のヘンリーのもとに身を寄せるが、格闘家を目指す巨漢のホークとルームシェアさせられる羽目に。警官は諦めてトラックドライバーを目指すスペンサーだったが、ボイランが殺される事件が起き、その容疑者とされた知人の警察官が自殺したと知って疑いを抱き、独自の捜査を始める。

アメリカのベストセラー作家ロバート・B・パーカーが生んだ「スペンサー」シリーズをを引き継いだエース・アトキンスの小説の映画化。スペンサーとホークの凸凹コンビが事件を解決するアクションコメディに仕上がっている。

Spenser Confidential
2019年/アメリカ/110分
監督:ピーター・バーグ
原作:エース・アトキンス
脚本:ショーン・オキーフ、ブライアン・ヘルゲランド
撮影:トビアス・シュリッスラー
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
出演:マーク・ウォールバーグ、ウィンストン・デューク、アラン・アーキン

正義漢が巨悪に挑むカタルシス

組織に属さない一匹狼が相棒を見つけて巨悪に挑むというのは娯楽アクション映画の一つの型といえる。だいたい無実の罪を着せられたり、世渡りが下手で辛酸を飲まされたりしている主人公が、それをした張本人の裏の顔を暴くという展開になる。

この映画も基本的にはその展開に乗っているが、主人公のスペンサーが収監されたのは冤罪ではなく事実だし、そのもととなった悪の親玉っぽい張本人が冒頭に殺されるというところでちょっとひねりがある。

でもそれは刑務所にいる4年間の間に悪の組織(警官だけど)の側に変化があって親玉が変わったと言うだけで組織自体に変化はなく、むしろさらに悪くなっている(それもひとつのパターン)。

こうなるとプロットの面白みは最後にどうやって個人の力で巨悪を倒すのかというアイデア勝負になってくる。それが観客の予想を上回ってくるか、納得できるかで気持ちよく見終えられるかどうかが決まってくる。

この映画の場合、予想を上回りはしないけれど、伏線がしっかりはられていて「なるほどそうくるか」と溜飲が下がる思いはそこそこあった。そして主人公たちがバッタバッタと悪人を倒していくさまにカタルシスを感じることもできた。

なので、いい映画だったととりあえず思いながら見えることができた。まあそれ以上ではなくあくまで平均点という感じではあったけれど。

バディ・ムービーの王道のよさ

あくまで平均点の物語にスパイスとして加わるのはスペンサーとホークの関係。最初は互いをあまり好きではないけれど、徐々にお互いを理解してコンビになっていく様は、まさにバディ・ムービーの王道、真逆とも言えるパーソナリティを持つ2人が互いを理解し合い、協力し合うようになっていくさまというのはいいものだ。

この映画を見てまず思い出したのは『リーサル・ウェポン』。白人と黒人という関係性もそうだし、主人公が後先考えず突っ走る正義漢だというのも共通している。『リーサル・ウェポン』はバディものの教科書みたいなものだから、今あるバディ・ムービーの多くが『リーサル・ウェポン』に似ているのは当たり前といえばあたりまえだけれど、この映画は特にそれを強く感じた。

それは悪いことではなく、むしろいいことで、こういう平均的の娯楽映画は王道から外れない安心感があることで心置きなく楽しめる。展開がどうなるかわからないスリルや大どんでん返しも面白いし、名作と言われるようになる作品にはそんな新しさがあるものだけれど、そんな作品ばかり見るのはつかれるので、こういう平均点の作品をたまに見たくなる。

きっとこの作品はすぐに忘れ去られてしまうけれど、不意に出会うとなんだか安心できる作品。休日の昼間にぼんやりと見ていたい作品だ。

『スペンサー・コンフィデンシャル』が見られるVODは

映画『スペンサー・コンフィデンシャル』はNetflix独占配信(2020年3月現在)。

800円/月~
1ヶ月無料