『生きものの記録』黒澤明の社会派ドラマは三船敏郎の怪演が圧巻

黒澤明が原水爆をテーマに、家族を巻き込んで騒動を起こす老人を描いた社会派ドラマ。三船敏郎が老人役を怪演したが、興行的には成功しなかった。 映画『生きものの記録』の概要 家庭裁判所の参与員をやっている歯科医の原田のもとに裁判所から電話がかかってくる。今回の懸案は原水爆と放射能に対する恐怖から、全財産を売り払って家族全員でブラジルに移住しようとする工場主の中島老人を、家族が準禁治産者に認定してもらおう […]

黒澤明が『蜘蛛巣城』で表現した「マクベス」の怪奇と狂気

黒澤明がシェイクスピアの「マクベス」を戦国時代に置き換えて撮った圧巻の時代劇。一見、冗長な展開の奥に潜む狂気と怪奇が現代的な意味を考えさせる。 映画『蜘蛛巣城』の概要 戦国時代、難攻不落の蜘蛛巣城の城主・都築国春に使える二人の武将鷲津武時と三木義明は敵の襲撃を追い払い、城主にそれを伝えるため城に向かった。しかし慣れているはずの城下の森で迷ってしまった。二人は物の怪の声をきき、その声を追っていくと、 […]

黒澤明『隠し砦の三悪人』ジョージ・ルーカスも魅了したコミカルな時代劇

黒澤明が1958年に撮った娯楽活劇。時代劇だがコミカルで今見ても楽しい。三船敏郎の脇を固める2人が 『スター・ウォーズ』のC3POとR2-D2のモデルになったことでも知られる。 映画『隠し砦の三悪人』の概要 戦で一儲けしようとして当てが外れた百姓の二人組み太平と又七は些細なことで喧嘩別れ。しかし、国に帰ろうとしても関所ができて結局、負けた秋月家の軍用金を掘り出すための強制労働現場で再開した。そして […]

黒澤明が『悪い奴ほどよく眠る』で描いたのは、見せないことで浮かび上がる「悪」

黒澤明が官と財の癒着や汚職を描いた社会派サスペンス。登場人物の造形と、結末に向けて盛り上がっていくストーリーテリングが見事。 映画『悪い奴ほどよく眠る』の概要 日本未利用土地開発公団の副総裁である岩淵の娘の結婚式に新聞記者がやってきた。お目当ては汚職の疑いで取締りの一人がつかまった大竜建設の社長と専務だった。しかしそこにやってきた刑事が連れて行ったのは公団の課長補佐・和田だった。結婚式では花婿の友 […]

黒澤明の『用心棒』のスペクタクルはハリウッドの教科書になった

1961年の黒澤明監督代表作の1つ。三船敏郎が浪人者を演じ、スペクタクルな演出で圧倒的な面白さを実現した作品。海外にも影響を与え、マカロニ・ウエスタン『荒野の用心棒』が作られたほか、スティーブン・スピルバーグの『レイダース/失われたアーク』の冒頭のシーンはこの『用心棒』へのオマージュともいわれている。 映画『用心棒』の概要 ぼろを着た浪人が家々が雨戸を閉じた何かありそうな宿場町に着く。その宿場の番 […]

黒澤明『椿三十郎』モダニズムと人情とユーモアと

三船敏郎が浪人者を演じた黒澤明監督の名作。アクションも見事ながら、ユーモアにも溢れ、物語も魅力的。ハリウッドにも影響を与えた作品の1つ。 映画『椿三十郎』の概要 藩内で賄賂が横行していることを発見した若い侍たちが神社の八代で相談をしていた。その相談は侍の一人井坂の叔父である城代家老に相談したところ、うやむやにされたため、大目付の菊井に話を持っていき、協力するといわれたというものだった。そのとき、社 […]

黒澤明『天国と地獄』は企業を舞台にしたサスペンス映画のスタンダードをつくった

黒澤明がエド・マクベインの原作を映画化した1963年のサスペンス映画。スリリングな展開で映画として面白いだけでなく、白黒映画の中で色を使った演出をしたことで映画史に残るものとなった。 映画『天国と地獄』の概要 ナショナル・シューズの権藤常務の家に、会社のお偉方が集まった。彼らは昔ながらの靴にこだわる社長に反旗を翻し、会社の実験を握ろうという話を権藤に持ちかけたが、彼はその話を突っぱねた。実は彼には […]

黒澤明『赤ひげ』で三船敏郎が示した人情と虚勢

健康飲料のTVコマーシャルでもおなじみの三船敏郎演じる「赤ひげ」が主人公の人情時代劇。この作品を最後に三船敏郎と黒澤明は決別したが、さすがのコンビネーションに加山雄三を加えて、最後を飾るにふさわしい作品とも言える。 映画『赤ひげ』の概要 顔を出すだけのつもりで小石川療養所にやってきた長崎帰りの若い医師・保本登は自分がそこで見習いとしてはたらくことになっているのを知る。しかし貧困にあえぐ庶民ばかりを […]

貧しさの中でも絆が人々を救う、黒澤明の異色作『どですかでん』

黒澤明が1970年に監督したヒューマンドラマ。黒澤映画の中ではマイナーな印象がある作品ですが、貧しさの中で生きる人々お絆を描き、現代にも通じるヒューマニズムを感じさせる作品です。 映画『どですかでん』の概要 ごみ溜めのような貧民窟でちっぽけな天ぷら屋をやる母親と二人暮しの六ちゃんは、毎日自分が電車の運転手になった気になって、「どですかでん、どですかでん」といいながら、家の前を往復する。近所の子供は […]

B級映画の傑作『ひみつの花園』は「ただ見て、笑う」映画

映画『ひみつの花園』の概要 子供のころからお金を数えることが大好きだった咲子は両親の勧めもあって銀行員になるが、他人のお金をいくら数えても満たされないことに気づく。そんな時、銀行に強盗が入り咲子は人質として連れ去られてしまう。しかし、その車が事故を起こし咲子は川に転落、スーツケースにつかまって九死に一生を得た。 話は、水の底に沈んでしまったスーツケースに5億円が入っていたことに咲子が気づくことから […]

1 13 16